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所属 文学部 国際言語・文化学科
教職員身分 教授
氏名 松田美香
フリガナ マツダ ミカ
専門分野 方言学、日本語学、社会言語学、日本語教育
最終学歴 東京都立大学大学院人文学部 国文学専攻 博士課程(博士後期課程)単位取得満期退学 文学博士(関西大学)
職歴(研究歴) 平成8~12年 国立国語研究所非常勤研究員
平成9~13年 別府大学短期大学部講師
平成14~22年 文学部国際・言語文化科、日本語教育研究センター准教授
平成23年~現在 文学部国際言語・文化学科 日本語教育研究センター併任 教授
学位 文学修士 
高等学校国語科教員 専修免許
メールアドレス matsumi@nm.beppu-u.ac.jp
研究テーマ キーワード 大分方言、可能表現、方言談話、感動詞・オノマトペ、日本語教育
具体的内容  大分方言には可能表現に3区分が見られ、全国的にも珍しく、日本語の可能表現の意味構造の解明にも役立つと思われます。実態を調査し、構造を明らかにしようとしています。
 大分方言が使われていることわざがあります。「大分県方言のことわざ」という言語作品を研究することで、大分県の人々が古くから気をつけてきたこと、守ってきたことなどを知ろうとしています。
 方言の性向語彙(性格や志向を表す語)の収集と研究は、日本人の生活の知恵や世界観に通じる重要な研究分野です。まだまだ始めたばかりですが、県内各地で出されている方言集などから性向語彙を集めて研究しています。働かない、人と協力できない者には「外道」「極道」「五体死に」など、ドキッとする語があるんですよ。
 日本語教育における方言の研究は、留学生への日本語教育をするうちに必要だと思い始めました。方言学から日本語教育に関わったので、方言を切り捨てる立場には疑問を持ちます。
研究業績 主な論文 (1)「千葉県方言の研究~体系記述及び部分体系の比較研究~」(修士論文)1990年
(2)「中学生の方言接触と変化~大分県大分郡挾間町における社会言語学的調査研究~」別府大学短期大学部紀要編纂編集委員会、『別府大学短期大学部紀要』第20号57~74頁、2001年
(3)「地域から発する可能表現の3区分化~大分県方言の可能表現についての一考察~」学校法人別府大学地域社会研究センター『地域社会研究』第4号、34~50頁、2001年
(4)「方言性向語彙から見た大分人~室山敏昭『ヨコ社会の構造と意味―方言性向語彙に見る―』を読んで~」学校法人別府大学地域社会研究センター『地域社会研究』第9号19~32頁、2004年
(5)「表現が生まれるとき~可能表現~」明治書院『日本語学』12月号(301号)特集[日本語の中の「九州方言」・世界の言語の中の「九州方言」]No.8、2005年
(6)「可能表現における世代差の追求~大分県内6地点通信調査から~」別府大学国語国文学会
『別府大学国語国文学』第48号、左1~23頁、2006年
(7)「大分方言における可能表現の地域差・世代差~通信調査の結果および考察~」別府大学会『別府大学紀要』第48号1~16頁、2007年
(8)「大分県日田市の可能表現~通信調査による世代差・地域差~」別府大学会『別府大学紀要』第48号1~9頁、2008年
(9)「方言のことば遊び」学校法人別府大学地域社会研究センター『地域社会研究』第15号、
10~19頁、2008年
(10)「ONSENまちの言語事情(大分県別府市の場合)」明治書院『日本語学』2009年5月臨時増刊号vol.28-6「特集 多言語社会・ニッポン」2009年
(11)「宮崎県椎葉村方言の可能表現―方言接触地域での体系と動態―」、日本方言研究会編『方言の研究5』、ひつじ書房、2019年、山本友美との共著
(12)「九州4 地点の依頼談話における配慮表現と積極的言語行動―九州における方言談話の特徴と分布―」国立国語研究所『国立国語研究所論集 (NINJAL Research Papers) 20 (2021)』所収

主な著書 (1)『大分県史 方言篇』(非売品)大分県総務部総務課、1991年 共著 
(2)『これが九州方言の底力!』九州方言研究会編、大修館書店、2009年 共著
(3)『多言語社会・ニッポン 日本語学5月臨時増刊号』「ONSENまちの言語事情」、明治書院、2009年、論文所収
(4)『100歳イリエおばあちゃんの知恵袋―伝えたい大分の方言・ことわざ・レシピ』、自費出版、2013年、編著
(5)『空間と時間の中の方言―ことばの変化は方言地図にどう現れるか―』所収「九州地方の可能表現」、朝倉書店、2017年、共著
(6)『コミュニケーションの方言学』所収「大分方言談話に見るコミュニケーション力」、ひつじ書房、2018年、共著
(7)『言語行動の方言学』所収「『申し出る』と『受け入れる』―恩恵表現と機能的要素から見る分布の特徴―」、ひつじ書房、2021年、共著
受賞歴及び社会活動 豊後高田市「大分方言まるだし弁論大会」審査員(平成11年~毎)
FM大分「ハイカラ食堂」ゲスト(平成14年~平成30年)
OBSラジオ「マダームみどりの気になる日本語」解説(平成22年~平成24年)
大分県立生涯教育センター主催「おおいた県民大分アカデミア大学」講師(平成18~22年)
大分遺産学
大分市「おおいたナイトスクール ふるさと知ろう科」講師(平成27年度~)
おおいた地域連携プラットフォーム 令和3年度 実践型地域活動事業「野津原方言調査会と学生との学術的交流機会の創出~『野津原方言集』20巻の電子テキスト化と方言研究を通じて~」
所属学会 日本語学会、九州方言研究会、日本方言研究会ほか
学生へのメッセージ  みなさんは将来の職業について、大人から「好きなことを探し、好きなことをしなさい」と言われることが多いと思います。しかし、何事にも「訓練(肉体だけでなく内面的にも)」が必要なのです。好きなことを好きだという気持ちだけではできないところに、好きなことが続けにくい大きな理由があります。好きなことを真っ向からすると、だんだん好きじゃなくなってくることもあります。
 大学は、好きなことを“次の段階”に向けて訓練するところです。嫌になるときもあるでしょう。しかし、そこで諦めないでほしいと思います。次の段階が見えるまで踏ん張らせるのが大学の役目だと思っています。皆さんの成長が私たちの一番の楽しみです。
地域貢献  ①大分方言に関することなら、少しはお話できます。
 ②音声・アクセントについての体験授業ならできます。もちろん日本の方言の特色についての授業もできます。/日本語教師の仕事の紹介、簡単な模擬授業もできます。
 ③大分県には外国人居住者が多いので、どのような言語生活を送っているのかに興味があります。特に大分方言との関わりについて、社会学や心理学の研究をなさっている方と共同で研究できたらいいと思っています。
自由記述  最近は、方言やマンガ・アニメーション作品の会話に関心を持っています。さりげない会話の中にある配慮の表現や地域独特の決まり文句など、今まであまり学問として取り上げられてこなかった面について、その価値を高めるためにも研究対象にしたいと考えています。方言とは「ことばの動き」を追う研究ですので、大分方言を中心に日本語の動きに注視していきます。
また、外国人に日本語を教え、その上達を見ることができる喜びは生きる喜びにつながります。しかも、留学生たちからは毎日元気や勇気をもらえます。日々の努力の結果、自分自身の日本語や言語センスが磨かれるというご褒美もあります。多くの方に日本語教師という職業に挑戦してもらいたいと思っています。


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